設計の注意点
- 一方で、まだその価値が理解されていない行動を最初に行うきっかけとしては有効
- 一旦価値が理解されれば、二回目以降はその価値の獲得を目的とした内発的動機付けが働く
- 原則として、インセンティブを付与するとしても、直接的な金銭でない方が望ましい
- ランキングなどの序列を作るようなものは最上位層のみが動機付けられ、それ以下は動機付けが失われる危険性があるので可能な限り行わない
- もし行うとすれば実質的に全員がランキングになるような設計にする(リクルートのように実質多くの人がMVPをもらうような設計)
- 一般的には、イノベーターが切り開いた新しい施策を広げるために、アーリーアダプター、アーリーマジョリティ向けにキャンペーンが展開されると施策が(何もインセンティブがないよりも)加速度的に浸透するのでゆめみ ではキャンペーンを多用している
- 特に、後付けであっても金銭的インセンティブをイノベーター層に設定するとアンダーマイニング効果が働く可能性があるので注意する
- アンダーマイニング効果が懸念される場合も実質的に永続的に続けるキャンペーンの場合は問題ないが予算を事前に確保しておく必要はある
- 仮説として、金銭的インセンティブが、金銭によって人をコントロールするというものでないと受け手が理解すれば、金銭的インセンティブであっても継続的な行動強化に有効に働くという仮説がある(エドワード・デシ)
- 従って伝え方も重要になることや、金額が小さければ金銭インセンティブの影響は抑えられる
- 下記のような行動強化の例もある。一方で、興味開発が根本的に大切というのが自学を促す原理ではある
- 従って、サプライズキャンペーンと呼ばれる事前に金銭的なインセンティブ案を告知しないキャンペーンも時には組み合わせて実施してきた
- ブログ1記事インセンティブいくらなどとする場合の注意点
- 質が低くても良い記事を量産する懸念がある
- 加えて、1記事についての金銭的な価値づけをしてしまう可能性があるのでなるべく行わないこと
イノベーター理論における各層毎の対応ガイドライン
イノベーター層対応
- 金銭的インセンティブはアンダーマイニング効果が懸念されるので原則は避けること
- 賞賛・名誉などの感情報酬を優先する
- 会社の権威ある人が賞賛する、全社会で表彰するなど
- 金銭的インセンティブを行う場合も、アーリーアダプターに浸透した事後的に行うなどが良い
- 例えば、 などはその一例となる
アーリーアダプター層
- イノベーター層が賞賛されるべき存在になっている前提が必要
- その前提で、イノベーター層に憧れる形で、アーリーアダプター層がフォロワーとなるように雰囲気作りを行う
- キャズムを一気にモメンタムを作って超えるためには、全社の10%を超えるタイミングからキャンペーンなど期間を限定した金銭的インセンティブが機能しはじめるが、逆にそれまでは我慢してなるべく金銭的インセンティブは使わないようにする
- 全社の10%を超えて、金銭的インセンティブを使うとしても期間限定というキャンペーンによって限定的にするのが望ましい
アーリーマジョリティ層
- キャズムを超えた段階で、既に社内の6人に1人には浸透している
- この段階では、トレンドに乗っかる人もいるが、少しずつ二番煎じとして逆に流行に乗っかりたくないという人が出てくる
- 従って、外発的動機づけとしての金銭的インセンティブが最も有効に機能させるべきタイミングとなる
レイトマジョリティ層
- 過半数を超えたタイミングでは、金銭的インセンティブは有効に機能しなくなるので、使用はかなり限定的にすること
- 重要になってくるのは、会社の過半数が実施しているという中で、特に日本の組織においては同調圧力を働かせることで、周りに迷惑をかけたくない、一人だけ輪を乱す行動はしたくないという心理に働きかける
- 但し、同調圧力をかける対象は個人ではなくて、チームやグループなどの組織単位にする。組織を横並びで浸透率などを比較できるようにして競争原理が組織間に働くようにする
- その上で、組織の中の人たちは、組織間の競争の中で、他組織に劣後しないためにも、協力せざるを得ない圧力が組織内に働く
- このような競争原理を働かせる中で、率先した組織に対して表彰や賞賛などの感情報酬を働かせることは有効になる
ラガート層対応
- ラガートのフェーズにおいては、ルールやペナルティ、昇進条件に組み込むなど行うなど本当に必要な場合は強制力が必要となる場合もある
- ただし、自身のコントロールをしたい欲求を抑えられない結果、ラガート層を強制的にコントロールしようとすると、多様性を損なって長期的には結果が伴わない可能性がある
- 全員が本当に実施しないといけない根源的な行動指針であったり、法的遵守の一貫として守ってもらわないといけないものなど、ラガート層まで強制すべき対象は実際のところは多くはない
- たとえ、99%以上の人が施策を実施する必要があったとしても、ラガート層になればなるほど、浸透コストが高くなるので費用対効果がどんどん合わなくなることにも留意すること
目的
- 組織開発や当たり前の文化をより素早く、加速させて浸透させていくために表彰などを活用していく
現在実施している内容
ジャンボ宝くじキャンペーンも上記と組み合わせて実施中
過去実施した内容
CfP応募応援・採択登壇キャンペーン(2023)書籍執筆・記事寄稿キャンペーン(2022~2023)‣
全社会での表彰例
‣
キャンペーン告知例
‣