期間中に一度でも誘惑の抱き合わせを実践してみた
誘惑の抱き合わせ
テレビやNetflix、スマホゲームやSNSといった自分がやりたいことは欲求のままに飛びついてやるけれども、やりたくないことは先延ばしにすることはないでしょうか。「やりたい!」というモチベーションをしくみとして活用する方法に『誘惑の抱き合わせ』があります。
これは、やらなければいけないが、なかなかそれを実現できない場合「やりたいこと」という誘惑と「やらなければいけないこと」を組み合わせることで、やらなければいけないことをやり遂げる方法で、習慣化にはとても有効なテクニックです。
人気がある欲しい商品を買うには、全く要らない商品も抱き合わせで買わないといけないといった商法は褒められた方法ではありませんが、習慣化においては有効な方法になります。
例えば「好きなドラマの動画を観たい」がやりたいこととして、「ジムで運動をする」をやりたくないこととした場合、ドラマの動画を観る+ジムでの運動を抱き合わせて実行するということです。「好きなドラマの動画を観るには運動をしながらでなければいけない」というルールを作り、ジムで運動をした時のみドラマの動画を観ることができるように制約します。
このように嫌なことと好きなことを合体させ、自分のやる気を引き出すことが重要なポイントです。これは「嫌なことをやり終えた後に、ご褒美がもらえる」という【行動トリガー(終了時)】にご褒美がもらえるやり方とは異なり、「嫌なことをやり始めると同時に好きなこともできる」というように、タイムリーに【行動トリガー(開始時)】にご褒美がもらえることが特徴です。この考え方については、将来の利益よりも目先の利益を優先する「現在志向バイアス」という心理をしくみとして利用しています。ご褒美が通常よりも早く貰えるのでお得に感じるわけです。
ゲームにおいては、強いモンスターがいるダンジョンでモンスターを倒すとレアアイテムを手に入れられることが多いですが、誘惑の抱き合わせでは、モンスターがいるダンジョンに入った瞬間からレアアイテムが手に入れられるようなしくみにしているのです。
ゆめみのメンバーは次のような抱き合わせを行っています。
・スクワットをすれば、エスプレッソマシンでコーヒーを抽出してコーヒーを飲める
・洗濯物をたたんでアイロンをかけている最中は、Netflixを観ることができる
このように「やりたいこと」と「やりたくないこと」を抱き合わせることは「ながら」でできることなので時間の節約にもなっています。通常よりもご褒美が早く貰えるだけではなく、時間の節約にもなることで更にお得感を感じられるのです。
一方で、普段から毎日のようにNetflixで動画を観たり、暇があればスマホゲームをしたりしている方の場合は、
・ジムで運動をする
・家事を行う
といった特定の状況だけに制限することは難しいと思います。その場合、「Netflixでも特定のドラマはジムで運動している時しか観れない」する」「歩いたり走ったりすることによって有利になるゲームを楽しむ」など制限するしくみの工夫が必要になるでしょう。
実際に私は「散歩をする時はPodcastを聴く」習慣を行っています。普段は在宅ワークなので外に出る機会があまりなく、外出がおっくうになりがちですが、このテクニックを使うことで「散歩をする時には好きなPodcastが聴ける」「楽しい!」となるように組み合わせて散歩を楽しくしています。そのため、家で音声コンテンツを聴く時はAudibleやVoicyを聴き、Podcastは外出先のみで聴けるものと制限しています。
他にも、「ついやってしまうこと」と「普段はやらないこと」を抱き合わせることで行動に制限をかけるなど、この誘惑の抱き合わせを工夫して使うと「ついやってしまうこと」を控えることも可能です。
例えば、甘い物が食べたいができるだけ控えたい場合、「図書館やカフェで勉強した時だけ甘い物を食べる」と設定することで甘い物を食べる機会を少なくすることができますが、ここで大切なことは、食べたいと思う特定の甘い物は家に置かずに図書館やカフェに行く途中でしか買えないと限定することです。
また、執筆期間中にスマホを触る時はKindleで関連書籍の内容を見るか、原稿で加筆してからスマホアプリを利用するようにしていました。執筆などは気が重たくなりがちな作業ですが、原稿や習慣化の書籍に頻繁に接触することで期間中は習慣化のことを常に考えることができ、隙間時間での執筆もできていたのです。スマホでつい時間を無駄にしてしまいがちな場面でも、Kindleで読書をすることでいつの間にか読書を続けられ、スマホでの時間の無駄づかいを控えることもできました。
このように、誘惑の抱き合わせは、モチベーションや意志の力をしくみの中で活用することで、やりたくなくて普段できなかったことや、気が進まずに実現できなかったことも習慣化できるようになるのです。