祝福ルーティンを期間中3回以上行った
祝福ルーティンの説明
スタンフォード行動デザイン研究所の研究によると、習慣はその行動に「強いポジティブな感情」が伴っていれば、数日などの短期間でも習慣化が行われることがわかっています。ゲームやSNSなどは強いポジティブな感情が伴うように設計されており、その結果として中毒性があるサービスになっていることを読者の皆さんも実感されていると思います。
意識をしなくても行動が定着化して自動化されるには、もちろん繰り返しの反復が必要となりますが、一方で、ポジティブな感情が伴うような結果が得られれば、まるで坂道でボールを転がした際に、どんどんと加速して転がっていくように習慣の自動化を加速させることができるのです。
ただし行動科学によると、強いポジティブな感情を伴うには行動の最中か直後でないと効果がないことがわかっています。継続的な習慣化を目的とするのであれば、ドーパミンが放出されて脳が気持ち良いと感じることは行動の最中か直後にする必要があるのです。
ここで間違えやすいことは、インセンティブの観点です。例えば、「筋トレをしたらご褒美に美味しい食事が食べられる」「終わった後にマッサージを受けられる」というのは、その目標を行うための動機付けやインセンティブにはなりますが、行動を反復させるような強いポジティブな感情が運動直後に発生している訳ではありません。
行動の最中や直後に強いポジティブな感情を伴う場合というのは、例えば、トレーナーが筋トレをしている最中や直後に「よく頑張りました!」「良いフォームです」というように褒める、励ますような声がけを通じて行われるもののです。
このように、行動を反復するためには達成感や満足感を得る必要があるのですが、習慣化においては「自分自身を祝福・喜ぶ・褒める」を行うことによりポジティブな感情を得ることができます。
その一方で、スクワットを3回したら「最高のパフォーマンスだ!」と自画自賛するのは馬鹿らしい、恥ずかしい、大袈裟だと思う人もいるかもしれません。自分に厳しい人や悲観的な人はむしろ苦手に感じることでしょう。しかしながら、人はそれぞれ何かしら達成した瞬間に自分なりの喜び方があるはずです。
オリンピックで応援している選手が、苦労の末に決勝で勝ち金メダルをとった瞬間や、受験で第一志望だった大学の試験に合格した瞬間などに自分はどのような喜びや嬉しさを表現するのかを想像してみてください。もしくは、小さい頃に両親や周りから褒められた言葉やエピソードを思い出すことも良いでしょう。
もしそのような表現方法がすぐに思い付かない場合は、次の喜び方を参考にしてください。
・笑顔でにっこりする
・拍手をする
・親指を立てる
・指をパチンと鳴らす
・ガッツポーズをきめる
・小踊りをする
・「最高!」と褒める
・「天才!」と褒める
・「よし!」「やった!」と言う
・「よくやった」と両親から褒められた記憶を思い出す・観客から歓声を浴びている姿を想像する
ゆめみの営業メンバーの一人は、何かが上手くいった時に手を叩いて「よっしゃ!」と叫ぶことを自分なりの祝福ルーティンにしていますが、習慣化においては、定着化させたい行動の後にそのような祝福ルーティンを一連の流れで行います。
また、習慣化の中には、習慣を思い出すこと自体が少し難しいものもあります。週次の振り返りなど1週間の中でも特定曜日だけ行うものや、雨が降ったら○○するといった不規則に発生するものなどはトリガー設計が難しいので、このような場合には、思い出したこと自体に対しても祝福すると効果的です。やるべき習慣を行うべきタイミングで思い出すことさえできれば習慣の実行は簡単ですが、思い出すこと自体が難しい場合もあるのです。その場合は、「思い出したら祝福する!」という習慣をぜひ身につけてみてください。
私の場合は、チェックリストにチェック印を入れる時は「チェキ!」、タスクのステータスをCompleteにする時は「コンプ!」と心の中でつぶやいたり、口に出したりしています。やるべき習慣を思い出せたら「指をパチンと鳴らす」を行って、大きな成果が出れば「天才!」と自画自賛しています。
また、ゆめみの経営会議では、会議終わりに会議の様子で感じたことをお互いに伝え合う「センシング」と呼んでいる行動を習慣にしています。オンライン会議においては、対面よりも雰囲気が伝わりにくいので参加者が意図的に洞察、感じ取ることにしているのです。このセンシングを行った直後に「ナイスセンシング!」と言って周りが伝えてあげる祝福もルーティンにしています。
このように、自分なりの祝福ルーティンを設定することは、トリガー設計や馬鹿らしいくらい簡単な目標設定と同じぐらい重要な原則であり、祝福ルーティンを習慣化することが実は定着化の鍵と言っても過言ではありません。
この重要な祝福ルーティンの内容を読んで理解した皆さんに「ナイス!読書!」。皆さんは既に習慣の達人です!