ゆめみの社会実験:働く意味を問い直し、組織のひずみを無くす
そもそも、私たちは何のために働いているのか。
「長時間労働」「社畜」「ブラック企業」「社会格差」といった問題が次々と顕在化し、「働き方改革」「ワークライフバランス」「多様性」も今では聞き慣れた言葉になりました。さらには、新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに生活や仕事のスタイルを見つめ直し始めている人も多いのではないでしょうか。
2007年に政府が策定した「仕事と生活の調和憲章」では、ワーク・ライフ・バランスが実現した社会のことを「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」と定義されています。
しかしながら、これが社会人だ、これが会社だ、これが管理職だ、これが経営者だ、という役割や概念に縛られすぎることで、歪みや不幸を生み出しているように思ってしまう場面が少なくありません。そうした仮面をかぶって役割を演じる必要もなく、ありのままの自分をさらけ出すことでさらに能力を発揮できる、そんな社会だったらハッピーだと思いませんか?
リクルートマネジメントソリューションズが2020年8月に実施した「マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査(※)」によると、「ミドルマネジメント層の負担が過重になっている」(68.7%)が最多だったそうです。
※マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査 2021
https://www.recruit-ms.co.jp/press/pressrelease/detail/0000000356/
かつては管理職になることはステータスであり昇進によって意欲が高まっていましたが、現在は管理職になりたい人の割合が減少し、働き方改革やコロナ禍でのリモートワークなど環境が変化する中で管理職にかかる負担の増大もひとつの社会課題となっています。
本来、仕事って人の役に立ったり、何かを学んだり、自分が成長できたり、嫌々やらされる苦行ではなく楽しくてやりがいのあるものであるべきではないかと思うのです。
ゆめみは、2000年の創業から今まで、部長が3人続けて部長職を辞める事態になるなど、管理職への責任の重さに社員が苦しんだ時期があったり、様々な失敗を乗り越え、実体験を通じて会社のあり方を常に考えながら試行錯誤を重ねてきました。
その結果、ティール組織と呼ばれる自律分散型組織、専任の管理職やマネージャーがいなくても社員がマネジメントを分担する組織に辿り着きました。たとえば「勉強し放題制度」「給与自己決定制度」「有給取り放題制度」など社員が安心して働ける環境、成長に専念できる環境の再発明を行なってきました。
今は従業員も250名近くとなり、次のステージである1000名体制を目指して日々前進しています。
そんな時代においてゆめみが果たす役割は「働く意味を問い直すこと」だと考えており、「働く意味を問い直し、組織のひずみを無くす」ことをゆめみのパーパス(存在意義・目的)としています。
一般的にワークライフバランスというのは、ワークとライフのいずれかを優先してどちらかを犠牲にする(もしくは妥協する)二律背反のイメージがあるかもしれませんが、ゆめみでは「ワークフルライフ(Workful Life:造語)」という考え方をもとにワークデザインしています。
「ワーク=誰かのために自分ができる貢献をすること」と定義し、仕事や趣味の時間、家族や友人との生活なども、すべて誰かのために自分ができる貢献と捉えることができるという考え方です。
つまり、自分を取り巻くあらゆるライフ(生活や活動)は色んなワークで溢れている「ワークフル」と捉えることができます。
- パーソナルワーク(趣味・食事・睡眠)
- カンパニーワーク(仕事)
- ファミリーワーク(家族との生活)
- フレンドワーク(友人との時間)
- ソーシャルワーク(地域や国など社会的な活動)
- フューチャーワーク(未来の人類のための活動)
重要なのは、そう捉えたときに、どれか一つだけではなく複数のワークは結果的につながっていくということです。
たとえば、仕事のために自宅で本を読んで勉強している姿を子供が見てビジネスや読書に関心を持つきっかけになったりと、勉強するという活動はカンパニーワークやファミリーワークにつながることもあるはずです。育児や介護を通じて家族とのコミュニケーションや試練を乗り越えることによる気付きや学びが、仕事でも応用できたり役立つことも大いにあるでしょう。
いずれ、ワークとライフを切り分ける発想は解けていくはずです。
ワークフルライフの考えからすれば、すべてがワーク(貢献)となるのです。
すべてが学び、すべてが楽しい。もっとありのままでいい。
働く意味を問い直して組織や社会のひずみを無くしたい。
その想いを実現するために、自らを社会実験の場として新しい働き方を提言、体現しながら会社や働き方の固定概念を変えていきたいと本気で考えています。