背景
- なぜシャドーが大事か?
- マネジメントの自働化として、ピープルマネジメント担当が個人同士の意見の対立に介入しなくても良くするには、感情の取り扱い方法を各自がセルフマネジメントする必要があった
- 実際に、アジャイル組織変革後、感情のぶつかり合いの悲劇は起きた
- また、Slack上で素直な気持ちを出していけると心理的安全性の確保につながっていく
- 感情の取り扱いの中で、シャドーの理解が必要となった
前提
- シャドーはユング心理学による用語ですが、ユングは実践を重んじるため、シャドーについて明確な定義を行なっていないと言われています(多分)
- したがって、ゆめみなりの定義をした上で、共通言語化を行い、シャドーとは何か?からシャドーを統合するには?に踏み込めるようにします
参考:Podcast
#32 シャドーの基礎的な理解とメカニズム by Ray Wow FM
ゆめみで定義するシャドーについて解説をします。ユング心理学における概念ですが、ゆめみではシャドーの概念を定義して理解浸透し、それを活用して人間的な成長できる環境を試みています。本エピソードではシャドーの定義やそのメカニズムについて話をします
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シャドーの定義
- 否定してきたもう一人の自分
シャドーが生まれる背景
created by @Rika Awazu
- 小さい頃、周りから褒められたりした得意なこと、認められてきた価値から、自分とはこういう人間だ!というアイデンティティ(自我)が確立します
- そのアイデンティティ(自我)と社会において周りから期待される役割を演じる仮面(ペルソナ)が合致した時には、そのアイデンティティは確固たるものになります
- 例えば、長男で「しっかりとした完璧なお兄ちゃん」として期待され、なんでも万能にこなし、周りからも頼られる存在というアイデンティティが確立した人に対して、社会がリーダーという役割を期待した場合に、それを自分の果たすべき役割だ!と確固たる仮面を演じる努力をするかもしれません
- 一方で、小さい頃から「だらしない自分、弱い自分、頼りない自分」というものを自分が否定しながら生きてきた場合に、その否定してきたもう一人の自分というものを、ユングの心理学においては「シャドー」と呼びます
- この否定することを心理学的には「抑圧」と呼びます
- 常に否定する中で、いつの間にか、否定してきたもう一人の自分は存在しないと信じ込み、本人でさえシャドーに気づかないケースもあります
- 一方で、会社や家族などのコミュニティにおいて、目の前にいる人間の行動にシャドーが表れた場合に、その否定してきた行動を取ることがコミュニティにおいて許されている状況があると闘争逃走反応がおきます
- 「仕事においてだらしない、すぐに弱気になる、何かお願いしても頼りない」といった行動を他人だけ許されているとすると、自分だけはそれを許さず生きているのにと感じて、不公平感を感じます。
- 人は自分の所属するコミュニティにおいて、自分だけ不公平な扱いを受けると動物的な闘争逃走反応を示します。動物的な本能なので仕方がない現象です(下記参照)
Frans de Waal: Moral behavior in animals
What happens when two monkeys are paid unequally? Fairness, reciprocity, empathy, cooperation -- caring about the well-being of others seems like a very human trait. But Frans de Waal shares some surprising videos of behavioral tests, on primates and other mammals, that show how many of these moral traits all of us share.
www.ted.com
- つまり、本当は自分も目の前にいる相手のように許されたいという甘えや羨ましさの感情があるのですが、それを否定してきたので、自分に嫉妬の感情があるとは気づかないです
- 一方で、闘争逃走反応という生理学的な反応が体には生じているので、理性的な脳は、現象を正当化しようとして、目の前にいる人間が悪いあるいは、目の前にいる人間を許容するコミュニティが悪いという判断を行います
- その結果、目の前にいる人を非難したり、コミュニティを非難したり、あるいは嫌悪したり、コミュニティから逃避したりします
- 特に目の前にいる人を非難するのは、心理学的にはシャドーの投影と呼ばれます
シャドーの問題点・機会点
- シャドーの投影
- 周りへの非難がひどすぎる場合には相手を傷つけたり、コミュニティの協調性を崩します
- 自分が否定するシャドーを、目の前の人がありのままに振舞えている場合、協調して仕事ができないです
- ペルソナ(仮面)
- シャドーを本人も気づかず、仮面をかぶった自分が本当の自分と思い込む
- 自分は完璧な人間だ!と演じることに疲れることで、溜まった鬱憤を、別のコミュニティ(家族・友人)にぶつける可能性があります
- 仮面をかぶることで、周りからは自己開示がされていないと感じられてしまい、深い共感が得られないです
シャドーの統合例
- 認知する
- ただ、そもそも否定してきた背景はなぜでしょうか?
- 親の場合は、親がいなくなっても子供が自立して生きて欲しいから、否定したのかもしれません
- あるいは、親や他人自身のシャドーを投影したり、親、他人の防衛機制があったのかもしれません
- シャドーをまずは認知します
- 上記のケースで言えば「だらしない自分、弱い自分、頼りない自分」という部分が自分にもあると認知します
- もともと親や周りからの評価や期待に応えようとしたり、あるいは親や周りから否定されたりしたのを受けて、自分が自分のシャドーを否定してきました
- 許す
- 親や他人のシャドーを許してあげます、そうすることで自分のシャドーも許します
- 育てる
- 自分のシャドーは、何十年も登場していない3歳児のまだまだ育てがいのあるもう一人の仮面(ペルソナ)自分です
- それを育てて、状況によって使えるようにしていきます
- 育て方の例としては下記の二重仮面法(ダブルペルソナ)(※れいっち考案なので一般的ではない)があります
アタッチメント活用
- ダブルペルソナも実際にはなかなか難しいです。従って、効果的に行う方法としては、二つのペルソナの間に接着材(アタッチメント)を用意して、くっつける方法です。
- この接着剤として使う事が効果的なものは、インナーチャイルドとして小さい頃から持っていた特性です。
- 例えば、片岡の場合だと、「悪戯っ子」と言うもので、人を驚かせたり、びっくりさせたりが好きなやんちゃな部分です。
- このアタッチメントで、ペルソナ(優れた自分)とシャドー(上手くできない自分)の2つの仮面をくっつけます。
- 具体的には、シャドーの仮面をつける際に、「え?片岡さんもそうだったんだ」と驚かれたりする事で、びっくりさせる事を実現します。敢えて、上手くできない自分を強調したり、大袈裟に振舞う形になります。悪戯心を持って、シャドーの仮面を見せるのです。
- そして、「悪戯心を持ってシャドーの仮面を見せる」という行為自体を、完璧にコントロールして実現することで、優れた自分であるペルソナを満たすことができます。
- このように、アタッチメントを活用することでシャドーの仮面をより前面に出しやすくなります。
- これを繰り返すことで、最終的にはシャドーの仮面だけつけていても大丈夫な状態を目指します。
- このようにダブルペルソナを行うにおいては、自分の小さい頃からの特性をうまく利用すると良いです。
- 特に、自分のインナーチャイルドの中でも愛すべき特性があるはずです。それに対してアタッチメント(愛着)を向けてあげてください。その上で大切な特性を使って、仮面をくっつけることになります
あなたのアタッチメントはなんですか?